新春談話室
(『昭和堂月報』No.4後記)

面倒ではあるが製版してゐて気持ちのよいのは文芸誌だ。何だか自分も同人の一人になつた様な気がする。それで、如何にもその歌なり詩なりに相応しい様な字体を工夫したくなる。と、トタンに期間に間に合はなくなるので、『俺も一つ自分の雑誌でも初めようかなア』とつい若い夢を見てゐる。(B生)

謄写印刷と云ふと小は四・五部から先づは五百部止まりらしい。尤も月報は毎号千部印刷して居るし、一九三三年度は千部以上のものが十指に余つたが、謄写印刷技術家(これでも技術家ですぞ)としての生甲斐に、是非一万部以上のものを手がけて見たい。勿論一枚の原紙で充分やつてのける自信はあるのだが、誰かこのムズムズする腕を利用してくれないものか。(C生)

印刷マンの右腕は断然左腕よりも大きい。お風呂などに一緒に這入つてゐると、前から見てはそうでもないが、背後から見るとまるで違ふ。右肩から腕が二本生えてゐるのではないかと思はれる位むくれ上つてゐる。C生は印刷マンも技術家だと云ふが、印刷は労働である証拠だ。(D生)
「昭和堂月報」の時代
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