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ガリ版ネットワーク日誌 [2002年5月]


5月某日
帰宅したらドアの前に小さな包みが置かれていた。以前、ガリ版器材を寄贈してくださったKさんが、移転前日だというのに修正液4個を届けてくれたのである。あたたかな気持ちと共にいただいた。

5月某日
「親が使用した謄写版が押入れにある。入用ですか」などを内容とする連絡が近年増えている。以前ならこうしたご好意をすべて引き受けたのだが、このごろは器材の状態を伺うことにしている。長年の使用で面がツルツルだったり、サビだらけのヤスリ、劣化した印刷器、カビの出た原紙等々。本人が謄写版とつきあった経験がないので、状態を判断できないことが多い。今回の場合は、先方から「使えそうもないのでこちらで処分します」ということになった。史料的価値のあるもの(戦前、戦中のもの)なら大歓迎なのだが、電話のやりとりではわからないことも多く、処分されてしまう例も多い、と考えている。

5月某日
銀座・伊東屋で印刷器用スクリーン布(絹、テトロン)を購入。最近は枠つきスクリーンの入手が少なくなり、せっかくいただいても虫に小穴を開けられていることが多いため、絹布、テトロン布をカットして頒けている。

5月某日
きょうはうれしい日であった。野草の孔版画家、助田茂蔵さん(福井)から近作「キンラン」が届いた。12度刷りで作画・製版・助田茂蔵、刷り助田篤郎という父子合作である。しみじみと眺める。わが家は多摩丘陵の一角に位置するので、新緑のころ、雑木林の木もれ日のなかでキンランを見ることがある。この黄色い小さな花は春そのものである。坂本秀童子さんのガリ版個人誌「謄写技法」(第5号)も届いた。坂本さんの「謄写技法」は、いつも意表をつくアイデアと彼一流のセンスに脱帽。今号の表紙デザインは児童用帖面(ノートとはいわない)であった。

(事務局・志村章子)
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