「2021年 日本の広告費」分析(2). . . インターネット広告費

 前回は「2021年 日本の広告費」のプロモーションメディア広告費を分析しました。今回は、コロナ禍で存在感をさらに増したインターネット広告費について分析します。

 電通によれば、コロナ禍前(2019年)のインターネット広告費は2兆1,048億円でした。それがコロナ禍1年目の2020年には、プロモーションメディア広告費やマスコミ四媒体広告費が大きく減少した中、2兆2,290億円(前年比+6%)へと増加しました。コロナ禍2年目(2021年)にはさらに大きく伸びて2兆7,052億円に達しました(前年比+21%, グラフ1)。

 
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 インターネット広告では、特に映像系を中心に動画広告需要の高まりが顕著でした。中でも、ブランドムービーをはじめとするリッチコンテンツが大きく増加しました。リッチコンテンツとは、音声や音楽、動画、アニメーションなど動的な要素を含むコンテンツ・制作物のことで、ここでは高品質な動画を指します。

 この結果、2020年にはプロモーションメディア広告費を、2021年にはマスコミ四媒体広告費を上回理ました。なお、2021年の総広告費(6兆7,998億円)に占めるインターネット広告費の構成比は40%に達しました(グラフ2)。

 
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 ところで、インターネット広告費には「マス四媒体由来のデジタル広告費」が含まれています。これは、マスコミ四媒体の事業者が主体となって提供するインターネットメディア・サービスにおける広告費、つまりマスコミ四媒体がインターネット媒体で得る広告費を意味しています。

 マス四媒体由来のデジタル広告費は、コロナ禍前(2019年)には715億円でしたが、2020年には前年比12%増、2021年にはさらに32%増えて1,061億円に達しました(グラフ3)。

 
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 このうち、55%が「雑誌デジタル」と最も大きく、「新聞デジタル」は20%でした(2021年, グラフ4)。また、紙媒体広告費とデジタル広告費の「合計広告費」に占めるデジタル広告費の比率は、雑誌は32%、新聞は5%に達しています(2021年)

 
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 「2021年 日本の広告費」から、新聞社や雑誌社が「紙媒体からの広告費収入からの脱却」そして「インターネット広告費収入の拡大」を進めていること、またそのトレンドを雑誌社が引っ張っていることが見えてきます。こうしたトレンドを踏まえた施策を立案・実践して、コロナ禍にマケズ、売上・利益を伸ばしましょう!
 
 
ブライター・レイター 山下 潤一郎 様
ブログへのリンク:Brighter Later Blog