新型コロナの影響分析(2):大手印刷会社編

今月(8月)に入り、「新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言」が出されていた期間(4月7日〜5月25日)を含む第1四半期(2020年4月〜6月期、 以下1Q)の決算が上場企業各社から発表されています。

 

 
大手印刷会社における1Qの部門別売上高対前年同期比をみると、出版印刷・商業印刷・電子書籍の制作販売などを担当する「大日本印刷(DNP)情報コミュニケーション部門」は90%、「共同印刷 情報コミュニケーション部門」は87%となっています。

両社によれば、イベントの中止、紙の出版物の市場縮小、店頭プロモーションやキャンペーンなど販促需要の縮小、パンフレットやカタログ等の紙媒体の落ち込みなどがありましたが、マイナンバーカードや働き方改革を背景にしたBPO、電子書籍販売、知育・教育関連分野の受注拡大などで、売上高は底支えされました。

パッケージや産業資材などを担当する「DNP生活・産業部門」では96%、「共同印刷 生活・産業資材部門」では108%でした。これらの部門では、外出自粛により飲料や土産品、飲食店向け等の業務用包材が減少しましたが、医薬・衛生材料向け包材や家庭用の食品包材が増加しました。

データ・プリント・サービス(DPS)、ビジネスプロセスアウロソーシング(BPO)などを提供する「トッパン・フォームズ データ&ドキュメント事業」は98%と微減でした。金融機関を中心とした事務通知物やダイレクトメール(DM)が減少しましたが、経済対策関連の通知物需要の取り込みやBPOの増収などにより売上高を維持しました。

なお、印刷通販会社の「ラクスル 印刷事業」では112%、「プリントネット」97%でした(ただし、両社とも2月〜4月期)。また、凸版印刷は決算発表が8月27日で今回の記事に間に合わなかったため含めておりません。また改めて分析したいと思います。

 
 
ブライター・レイター 山下 潤一郎 様
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