流通経路が「見える」印刷物

博報堂が発行する雑誌「広告」のVol. 415(2021年2月16日発売)は、販売店舗ごとに表紙が異なっています。これは、各店舗に届くまでの流通経路が印刷されたシールが表紙に貼られているからです。

例えば、紀伊国屋書店 新宿本店(東京・新宿区)で販売されている「広告」の表紙には、以下の情報が印刷されています:

  ● 製本:篠原紙工
  ● 運送:上昇運輸
  ● 取次:ジェイトップ(東京物流オフィス)
  ● 運送:西濃運輸 和光支店
  ● 販売:紀伊国屋書店 新宿本店

 

 

表紙を比較することで、同じ東京でも書店によって流通経路が異なることが分かります。お茶の水の書店 書泉グランデ(東京・千代田区)の「広告」は以下の流通経路で店頭に並んでいます:

  ● 製本:篠原紙工
  ● 運送:上昇運輸
  ● 取次:鍬谷書店(浦和ロジスティクス)
  ● 運送:西濃運輸 大宮支店
  ● 販売:書泉グランデ

 

 

流通経路が「見える化」されたことで、製本後にどのくらいの距離を移動して店舗に届いたかも分かります。例えば、紀伊国屋書店新宿本店の「広告」の移動距離は約81km、書泉グランデでは約87kmです。

「広告」は、北は北海道・南は沖縄でも販売されています。紀伊国屋書店 札幌本店(北海道・札幌市)に並ぶまでは約1,154km言事堂(沖縄・那覇市)までは約2,314km、製本後に移動しています。

「広告 Vol. 415」では、東京・江東区で製本された雑誌が全国に効率的に配送される物流サービスのスゴさを改めて感じることができます。同時に、環境負荷に積極的に取り組む印刷業界の皆さんの中には、数千kmも印刷物を動かすことに対する抵抗感・罪悪感を感じる方も少なくないでしょう。

印刷機材や仕組みのデジタル化が進む中、印刷物の流通経路が「見える」ようになることで、物流まで含めた環境負荷を低減する印刷サービスを企画・提供できるようになります。このサービスでは、「お客様のお客様」の手に印刷物が届くまでの時間を短縮することもできます。

ぜひ、デジタルを活用して印刷サービスを進化させ、コロナにマケズ、売上・利益を伸ばしましょう!

 
 
ブライター・レイター 山下 潤一郎 様
ブログへのリンク:Brighter Later Blog