IGAS 2022 振り返り(2)デジタル印刷機 最新動向

B2枚葉デジタル機

 今回のIGAS会場には、6機種のB2枚葉デジタル機が紹介されました。その中でも、富士フイルム Revoria Press B2(仮称, 技術展示)とリコー Pro Z75(参考出展) の2機種が、特に大きな注目を集めていました。

 富士フイルム Revoria Press B2(仮称)は、世界初の乾式トナー技術を採用したB2枚葉デジタル機で、印刷速度は毎時2,500枚。最大用紙サイズは750 x 662mmで、これはA4 6面付け・はがき28面付けなどが可能なサイズです。また、今回は4色機としての展示でしたが、将来的には Revoria Press PC1120 に使われている技術を使い、6色機となる計画です。発売時期は未定です。

 
Roland
 

 リコー Pro Z75は、今回が世界初出展のB2枚葉水性インクジェット機で、両面印刷が可能となっています。解像度 1200 x 1200dpi、最大印刷速度 毎時4,500枚(片面時)の4色機。発売は来年度(2023年度)の予定です。

 
Roland
 
 なお、今回紹介された6機種には、以下のように様々なタイプがありました。次回(2024年)drupaでは、全機種のデモが行われサンプルも配布されて、比較検討できることが期待されます:

   * 水性インクジェット機(片面機):1機種(富士フイルム Jet Press 750S HS)
   * 水性インクジェット機(両面機):1機種(リコー Pro Z75)
   * UVインクジェット機(両面機):2機種(コニカミノルタ KM-1e HD, KOMORI Impremia IS29s, )
   * 乾式トナー機(両面機):1機種(富士フイルム Revoria Press B2(仮称))
   * 液体トナー機(両面機):1機種(HP Indigo 15K)

 
A3トナー機

 A3トナー機については、デジタル印刷機単独で生産性や画質の高さを訴求するというよりも、それを活用したソリューションの展示が多く見られました。特に、DMや封筒印刷のソリューションが多く目につきました。

 富士フイルムブースでは、世界初の圧着トナー(仮称)を使用した圧着DMワークフローが展示されました。圧着トナー(仮称)は、超高圧印刷時のみに低粘度化し接着する機能を実現したトナーです。会場では、このトナーを使った Revoria Press PC1120とバリアブル印刷データ作成ソフトウェア FormMagic 5、後加工システムなどを組み合わせた、圧着DM自動生産モデルのデモが行われました。

 
Roland
 

 また、キヤノンブースでは、新発売のフルカラートナー機 imagePRESS V900(印刷速度 毎分90枚)と封筒フィーダを組み合わせた封筒印刷ソリューション、リコーブースではフルカラートナー機 Pro C9210(印刷速度 毎分135ページ) に治具を取り付けて給紙・排紙をカスタムする封筒印刷ソリューション事例が紹介されました。

 
Roland
 

 会場では他にも、商印・書籍・トランザクション市場向け輪転インクジェット機、ラベル・パッケージ印刷市場向け輪転デジタル機、A3サイズ枚葉インクジェット機、ワイドフォーマット機など、様々な最新のデジタル印刷機の展示・デモが行われていました。

 それらもワークフローソフトなどを介して後加工機とつながったり「見える化」できたりする、「スマートな機材」です。ぜひ、自社のお仕事に合ったデジタル印刷機を適切に選定・活用して、厳しい市場環境にマケズ、売上・利益を伸ばしましょう!

 
 
ブライター・レイター 山下 潤一郎 様
ブログへのリンク:Brighter Later Blog