中小印刷会社も『BPO』でコロナ禍を乗り越えよう!

 東京で4回目の緊急事態宣言が出されるなど、コロナ禍はなかなか収まりません。印刷会社はどのようなサービスで、この状況を乗り越えようとしているのでしょうか。

 年間を通じてコロナ禍の影響を受けた2021年3月期(2020年4月〜2021年3月)における大手印刷会社の決算を見ると、ほとんどのセグメントが利益を出していることが分かります。商業印刷・出版印刷を担当する「情報コミュニケーション」セグメントでも利益が出ていますが、DNP・凸版印刷・共同印刷の間で利益率に差があります。さて、この差はどうして出たのでしょうか?

Roland 
Roland

 

 以下は各社の決算短信からの抜粋ですが、これらから「BPOへの取り組み度」がその理由のひとつであると考えられます。トッパン・フォームズ「データ&ドキュメント事業」が提供するBPOサービスでも「大幅な増収」が実現されており、その利益率は7.3%となっています。

 
【DNP 情報コミュニケーション部門】
 ✓情報イノベーション事業は、国内の経済対策関連の需要増加もあって、マイナンバーカード等のIDカードやBPO関連事業が順調に拡大したものの、全国のイベントやキャンペーンの中止にともない、パンフレットやカタログ等の需要が減少した影響が大きく、当事業全体では減収となりました。
 ✓出版関連事業は、外出自粛等によって自宅で過ごす時間が増えるなか、電子書籍販売が順調に推移したほか、電子図書館サービスや図書館運営業務の受託も増加しましたが、書籍・雑誌等の印刷受注の減少が続き、当事業全体では減収となりました。
 
【凸版印刷 情報コミュニケーション事業分野】
 ✓雑誌・書籍をはじめとした出版印刷が減少し、前年を下回りました。
 ✓SP関連ツール及び商業印刷は、イベントの中止・延期やチラシ、パンフレットの減少などにより、前年を下回りました。
 ✓BPO関連では、企業や政府・地方自治体等のアウトソーシング需要を取り込み、受注が想定以上に伸びていることもあり、好調に推移しました。
 
【共同印刷 情報コミュニケーション部門】
 ✓出版印刷では、コミックス増加のほか、家庭内での教育需要の高まりを受けて児童・幼児向け図書や学習参考書、デジタル教材の制作が増加しました。また、コミックの電子配信も増加しましたが、定期刊行物の大幅な減少により、売上高は前期を下回りました。
 ✓一般商業印刷は、販促需要の減少に加え情報誌も減少したため、前期を下回りました。
 
【トッパン・フォームズ データ&ドキュメント事業】
 ✓BPOでは、経済対策関連に加え、行政機関やエネルギー関連、金融機関などからのアウトソーシング需要の取り込みにより、前年から大幅な増収となりました。
 

 なお、BPOとはビジネス・プロセス・アウトソーシング(Business Process Outsourcing)の略で、企業活動における業務プロセスの一部を外部に委託することです。中小印刷会社でも、例えば以下のようなコミュニケーションに関わる業務のBPOサービスを提供できるでしょう:

• WebサイトやSNSの運用
• サービスなどの問い合わせ・申し込み窓口
• イベントやキャンペーンの事務局
• コミュニケーションに関わるデータの管理・分析・活用、など
 
 BPOが伸びている背景には、コスト削減ニーズの高まりに加えて、人手不足やリモート化といったトレンドがあります。これは、今後もこの流れが続くことを示しています。ぜひ、『BPO』でコロナ禍を乗り越えましょう!

 
ブライター・レイター 山下 潤一郎 様
ブログへのリンク:Brighter Later Blog